ロックで独立する方法 忌野清志郎
忌野清志郎さんは父親に連れられて見にいったライブビューイングというのか、ドキュメンタリー映画でRCサクセション時代の曲を聴いて以来のファンです。
この本は2000年頃のインタビュー記事をまとめたもので、清志郎さんがこういうタイトルで若者向けの本を作りたいねということで作られたという。
前半は1970年RCサクセションデビュー頃と、本が書かれた当時の音楽的環境の違いについて語られており、自分自身の経験を元にどうすれば大好きな音楽を生業としていけるか悩める若者へのアドバイスとなっている。
後半ではRCサクセション時代のメンバーの話とか、解散のきっかけといった話が載っており、昔から追いかけてきた人ならば常識なのだろうが個人的に知らないことが多くてそちらも興味深かった。
意外だったがRCサクセションは最初はフォークソングのグループだったという。
デビュー曲は宝くじは買わないという曲で、アンプは使用しておらずフォークギターとベースはウッドベースを使っているらしい。最初はドラムが不在でリズムセクションをギターで補ったからRCサクセション独特のパーカッシブなギターサウンドが生まれたのだという、なるほど!
清志郎さんはビートルズの影響をもろに受けている世代だが、ビートルズも同じように地元のバンドマン仲間が始まりで、RCサクセションも地元のバンドマン仲間で作られたものだから不思議な巡り合わせだといっている。
またビートルズとはバンド解散の契機にも共通点があり、ビートルズは結成当時のライブセッションを再現したゲット・バックセッションでのメンバーの不和により解散につながったが、RCサクセションの場合も、結成当初に持っていた既存の音楽に縛られないアグレッシブな曲作りに挑戦するというコンセプトで作ったカバーズというアルバムレコーディングがきっかけだったそうだ。
世の中にはバンド指向と人とソロ指向の人がいて、清志郎さんは最初からバンド指向だったようだ。それはやりたい音楽がバンドサウンドだったというだけでなく、最初はわからないことだらけで不安だったので、仲間がいると安心だったという。
ただ長く続けているとメンバー間の不和が大きくなりーー元々メンバー同士はそれほど仲が良かったわけでなかったということ、また音楽業界に慣れていくと自分一人でもやりたい音楽をやる方法が分かり皆ソロ指向になるものだという。
なるほどだからビートルズもバンド解散した後、それぞれがソロ活動するのだな。
この本を読んで忌野清志郎さんは音楽に対してとても真摯な方だったのだなと思いました。